インクジェット 2012 10 21
書名 インクジェット時代がきた
著者 山口 修一 山路 達也 光文社新書
今日も政治・軍事関係の本を紹介するつもりでしたが、
急遽、話題を変えて、科学技術関係の本を紹介しましょう。
昔は、印刷というと、
活字を組んで、紙と型(版)をぴったりと接触させて、
印刷するのが、普通でした。
ところが、インクジェット・プリンターは、
印刷の概念を大きく変えてしまったのです。
インクジェットの場合は、紙とインク噴射装置が離れているのです。
家庭のインクジェット・プリンターでは、
紙とインク噴射装置が離れていると言っても、数センチ程度かもしれませんが、
インクという水滴を正確に着弾させることができるならば、
紙とインク噴射装置が数十センチ離れていても問題がないはずです。
それどころか、インクジェットを使うならば、
印刷したいものは、紙という二次元に限定されないのです。
立方体という三次元の物体にも印刷できるでしょう。
さらに言うならば、インク噴射装置から噴射させるのは、
インクに限定させる必要はありません。
化学物質を噴射させて、化合物を作る。
DNAを噴射させて、細胞を作る。
実に、いろいろな用途が考えられます。
私は、2003年にインクジェット・プリンターを、
年賀状印刷だけに使うのは、もったいない。
インクジェットの特徴は、微小な水滴を正確に着弾させる技術だから、
これは、バイオテクノロジーに応用できるのではないかと書きました。
実際に、ある科学雑誌では、大学の研究室で、
インクジェット・プリンターを、
バイオテクノロジーに応用できないか研究しているという記事があったのです。
RNAは、あまり丈夫ではありませんが、
DNAは比較的丈夫な素材で、部品として使うには、最適だと思います。
最近では、DNAという素材が市販されています。
インクジェット技術とバイオテクノロジー。
こうした異色の組み合わせが、新しい日本の技術となることを祈ります。
DNAロボット 2011 2 27
書名 DNAロボット 生命のしかけで創る分子機械
著者 萩谷 昌己 西川 明男 岩波書店
ロボットを何で作りますか?
金属で作ると、何かと不都合が発生すると思います。
鉄では、切ったり貼ったり溶接したり手間がかかります。
その上、つなぎ目のところが弱いでしょう。
さらに、さびが生じるという問題があります。
そこで、将来的には、バイオテクノロジーで作る方法があると思います。
遺伝子操作をすれば、植物、たとえば木も、丈夫な素材になります。
さて、ロボットの頭脳であるMPUも、
現代の技術では、やがて限界に達すると思います。
今の半導体技術は、微細化の限界に来ていると思います。
そこで、MPUも、発想を変えて、
バイオテクノロジーで作る手法も考えるべきだと思います。
IT技術というと、半導体やシリコンなどを連想しますが、
やがて、IT技術は、バイオテクノロジーと融合していくでしょう。
RNAは、あまり丈夫ではありませんが、
DNAは比較的丈夫な素材で、部品として使うには、最適だと思います。
最近では、DNAという素材が市販されています。
この本によると、
「DNAを用いた実験を行うには、
まず必要な並び方・長さと塩基の並び方を持つDNAを合成する必要がある。
といっても、近年では、DNAを合成するサービスを提供する会社が数多く存在している。
塩基の数が数十から百数十個のDNAは、1万円弱で手に入れることができる」
その他に、この本から興味深いものをいくつか取り上げましょう。
「DNAを切る・つなぐ 制限酵素の利用」
「組み合わせ自在の平面構造 DNAタイル」
「計算するタイル DNAタイルの応用」
「回転する構造 DNAモーター」
「分子ピンセットはDNAで動く」
「歩く分子 DNAウォーカー」
「分子サイズの人造細菌 DNAリケッチア」
「燃料はATP 酵素で動くウォーカー」
さて、冒頭で金属のことを悪く書きましたが、
金属的な性質を持った生物を作るという発想もあります。
それを半生物化すれば、丈夫な素材になるかもしれません。
バイオテクノロジー 2010 12 12
将来は、宇宙船をバイオテクノロジーで作る時代が来るかもしれません。
宇宙船を金属で作ると、何かと不都合が発生すると思います。
鉄では、切ったり貼ったり溶接したり手間がかかります。
アルミニウムを削り出す方法もありますが、これでは大きなものは作れません。
宇宙船を生物というか、半分生物で作れば、何かと都合がよいのです。
まず、人間の意識と同調させることができるというメリットがあります。
これは、突飛な発想ではなく、
現代でも、最新鋭の戦闘機において、
人間の思考を兵器コントロールに使えないか研究していると思います。
認識と科学技術と書くと、
この二つが、どう関連するのかと思うでしょうが、
認識と科学技術の融合は、重要なことです。
いずれにせよ、どのような材料を使っても、
人間の意識と宇宙船をうまく同調させることが必要です。
宇宙のトンネル 2010 8 1
宇宙にトンネルがあると言ったら大変なことになるでしょうか。
おそらく、科学者たちは、
「いったい誰が、どのようにして作ったのか」と議論になるでしょう。
しかし、それは、余計な詮索と言えるでしょう。
こう考えてみれば、どうでしょうか。
車で道路を走っていたら、トンネルがあった。
トンネルを通れば、向こう側まで10分で行くことができます。
しかし、このトンネルは、
「いったい誰が、どのようにして作ったのか。
それがわからない限り、トンネルを通ることはできない。
だから、私は、峠道を5時間もかけて向こう側まで行く」という人がいるでしょうか。
たいていの人が、何も考えず、便利にトンネルを使うでしょう。
やがて、人類も、何も考えず、
便利に宇宙のトンネルを使うことになるでしょう。
その時、ある問題が発生します。
それは、人間は、肉体と魂で構成されていますが、
そのトンネルを使う時、肉体と魂が分離してしまうことです。
そこで、肉体と魂の制御システムが必要となるのです。